富士
長いです。そして、どちらかというと読みやすい感じなのですが、読書スピードが上がりませんでした(読みづらいっていうのは、文語または順ずるような古い言葉使いであるとか単純に難解な単語が使われていて文章が難しい、または特に最初の方で内容に興味が持ちづらい、そういう場合を考えています)。この小説の場合は割とおもしろそうなことが次々と書かれているし、ほぼ完全に今の言葉なので読みやすいはずなのです。それで思ったのは会話文が多いことです。会話文が多いと読みやすくなりそうですが、1ページぐらい続く会話文が頻繁に出てきたりするので、その点が変わった印象につながっている気がしました。
内容は、かなり面白いです。上でも書きましたが、人物の会話で次々面白そうな話が交わされていくし、後半ダイナミックになります。今考えると各シーンシーンが印象的でした。それと登場人物が魅力的というか、魅力はあまりないのですがキャラクターが立っています。これは結構めずらしいくらいだと思います。私は庭京子が好きでした。
- 作者: 武田泰淳
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1973/08/10
- メディア: 文庫
- クリック: 29回
- この商品を含むブログ (34件) を見る