司馬遷

私は武田泰淳が書く文がとても特殊なものに感じられます。この本は小説ではないのだけれど、史記自体がそうなのか、泰淳が書いたからそうなのか解らないけど感じました。人間を見ている文章だと思うのだけれど、当たり前の部分、ごく普通の人がもつ悩みが書かれている気がします。文章家は高尚な問題をよく使うけれど、泰淳が書くものは普通の問題で、でも書かれた文章は特殊なものになっているということです。

司馬遷―史記の世界 (講談社文芸文庫)

司馬遷―史記の世界 (講談社文芸文庫)